前回に引き続きクランクベイトの思い出をもうひとつ。
あれは今から30年近く前のこと。
バス釣りを始めて間もないころの頃、まだ所有するルアーも少なくどれを買ってよいかも良くわからなかった状態でした。
所有していたのはワームばかりであまりハードルアーは持っていませんでした。
そこで近所の釣り具屋になにか買いにいこうと立ち寄るとひときわ存在感を放つこのメガバスのディープX 100が目に留まりました。
当時はまだこのようなリアル系のルアーは少なく「凄いなコレ…」という第一印象、即決で購入いたしました。
購入したもののしばらくの間釣りに行くことができずタックルボックスの中に寝かせていたのですがある時近所に住んでいた幼馴染が江戸川の河口でルアーを投げるとでかい魚が釣れるらしいから一緒に行こうとの話を持ち掛けてきました。今思うとおそらくシーバスだったのではないかと思います。
その話に乗りタックルボックスを持って宵の江戸川に。
するとなんとその幼馴染が見本を見せるからルアーを貸してくれ言ってくるではありませんか。
自分のタックルボックスにはあいにくあのDEEP X 100しか入っておらず渋々貸し出すとその幼馴染は意気揚々とラインを結びはじめました。
そして第一投目。
「うぁぁっ」
幼馴染の驚嘆の声の後、「ぴゅゅゅゅ……」という風切り音と共に江戸川の闇の中に吸い込まれたDEEP X 100は二度と戻ることはありませんでした。どうやらラインがちゃんと結べていなかったようです。
仕方がないので後日また釣り具屋に同じものを買いに行ったところメガバスのルアーコーナー跡形もなく消えていました。
店員さんに尋ねると「あのルアー凄い人気になっちゃって仕入れられないんだよ」との返答。DEEP X 100が自分のタックルボックスに眠っていた間にブームに火が付きメガバスのルアーは軒並み完売。
POP X等の人気ルアーのリリースもブームに拍車をかけ全盛期には福袋で在庫処分品と抱き合わせ販売される始末。それでも瞬く間に売れるという驚異の売れっぷりを叩き出していたのです。
そうなってくるとあの江戸川に投げ捨てられたDEEP X 100に益々思いは募るばかり。
ほろ苦い思い出となりました。
結局再び手に入れたのはブームが落ち着いた2000年前後の頃だったと思います。
募らせた思いもあってか今でもこのディープ X 100は一番好きなルアーであります。
ちなみにこのルアーで魚を釣り上げたことはございません…
ありがとうございました。